[2019/8月号]わたしのおすすめの本「藤原てい 著『流れる星は生きている』」

 私がこの本を読んだのは中学生の頃だったと思います。強烈な印象でした。なによりも、母親のてい(著者)に連れられて満州から朝鮮半島38度線を超えて、日本に帰るまでの壮絶な、1年余の逃避行をした次男正彦は、私と同じ昭和18年生まれ当時3歳の幼児だったことにショックを受けたのです。

 母親のてい(著者)は、夫が現地の気象台の責任者として残留したため、5歳の長男正広、3歳の次男正彦、生後1か月の長女咲子の3人を連れて、現地中国人(満州人)やロシア兵の暴行略奪の恐怖におののきながら、南下するのです。金も食糧も無く、大豆をかじり、徒歩あるいは無蓋列車や荷車、大人の胸までの深い川を母親が3人の子どもを渡すため3往復して渡るなど、平時では考えられないような苦難の逃避行を続けて、38度線を超え、米軍に救助されるのです。

 母親ていの夫は、のちの作家新田次郎氏です。彼の著作「武田信玄」「八甲田山死の彷徨」「剣岳 点の記」などは映画化されています。次男 正彦は数学者ですが、エッセイ等の著作者としても著名です。「若き数学者のアメリカ」「国家の品格」などの著書があります。

戦争がいかに、私たち庶民に過酷な運命を課すか、私は自分の孫たちの将来に不安を覚えます。


紹介者  井藤和俊

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編集後記 3月4月の新聞テレビ報道はウクライナ戦争、しかもロシア・プーチン批判ウクライナ支援の大合唱でした。4月には、日本核武装を論議せよとの主張が、文芸春秋5月号、「日本核武装のすすめ」の大見出しで掲載されています。 安倍元総理の「核保有国の中国、ロシア、北朝鮮に対抗するには、日本が核武装することを議論せよ」との主張は、憲法9条、専守防衛、非核三原則、核廃絶を当然としてきた国民にとって、あまりに