[2020年12月号] 編集後記

編集後記 「学術会議問題と図書館の自由に関する宣言」

 学術会議の委員任命に、菅総理が推薦候補の任命を拒否したことが、大きな政治問題になっています。菅総理は、6人全員の任命を拒否した理由の説明を拒んでいますが、世論は二つに分かれています。国の予算がついている以上総理が任命を拒否できるし、拒否理由を説明する必要はないという意見。他は、推薦制に法改正されたときの中曽根総理の「推薦者を任命する」との国会答弁を根拠に、学術会議法に基づいて推薦された者を、政府が恣意的に任命拒否してはならないとの意見。

 この議論を聞いて、「図書館の自由に関する宣言」を思い起しました。

 図書館協議会が1954年に採択(1979年改訂)した上記宣言は、戦前図書館が国民善導の機関として、国民の知る自由を妨げる役割を果たしたことの反省にうえに、「図書館は国民の基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」として「図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである」とうたっています。

 宣言は、「図書館は、自らの責任において作成した収集方針にもとづき資料の選択および収集を行う。その際(1)多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの

観点に立つ資料を幅広く収集する。(2)著者の思想的、宗教的、党派的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない。(3)図書館員の個人的な関心や好みによって選択をしない。(4)個人、組織、団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりはしない。(5)寄贈資料の受入れにあたっても同様である。(6)図書館の収拾した資料がどのような思想や主張をもっていようとも、それを図書館および図書館員が支持することを意味するものではない。

 政治の風が図書館に吹き付ける時がこないとも限りません。その時も、私達は、図書館と図書館員が、この自由宣言を守れるよう、市民として支援してゆきたいものです。(井藤)



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