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[2020年4月号]書評「決定版 日本書紀入門」       (著者:竹田恒泰、久野潤)       


  

書評「決定版 日本書紀入門」            (著者:竹田恒泰、久野潤)

                       投稿者  田中教之

 本年は、日本書紀編纂から1300年目を迎える節目の年である。サブタイトルにあるように、日本書紀を通じて「2000年以上続いてきた国家の秘密に迫る」内容を、対談形式で述べており、日本書紀の編纂背景、「古事記」との違いなどが分かりやすく書かれている。まさに「決定版」としての、入門書である。

日本書紀の特徴として、「一書日(あるふみいわく)」という表記があげられる。「このような説(見解)もある」ということで、別の見解を織り交ぜて書かれているのは、編纂者の一方的な見解だけでなく、学問的である。また、連戦連敗であった白村江の戦をそのまま記載しているところなど、国の良いところばかりを記載した歴史書とも異なる。加えて、万葉仮名で書かれた「古事記」と異なり、漢文で書かれた日本書紀は海外への情報発信であったということも特徴のひとつである。

本書の第4章には「国難を乗り越える『日本書紀』」という項目があり、日本書紀を読んだ先人たちが日本の国難を乗り越えてきた経緯や、現在の国難についても一定程度役立つ視点が盛り込まれている。日本書紀には、白村江の戦以降の日本の国防体制の立ち上げに状況も記載されており、当時状況が現在の日本の地政学的状況とかなり似ている。「歴史は繰り返す」というが、日本書紀から学ぶべきことも多いと考える。

 ちなみに、筆者のひとりである久野氏は、大学時代の部活動で知り合った他大学の後輩である。現在も親しくさせて頂いており、彼が菊池に来た際に、菊池神社や鞠智城などを一緒に訪れている。彼のような若手研究者の書籍も紹介したいということで、今回書評に取り上げさせて頂いた。(個人的すぎるかもしれないがご了承いただきたい。)

 本年は日本書紀だけでなく、菊池氏発祥950周年、菊池神社御鎮座150周年の記念すべき年である。この節目の年に、菊池の歴史に加えて、日本書紀に触れてみてはどうか。


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