[2025年05月号]図書館レファレンス入門――第二回:レファレンスを使ってみた!
- 杉本翼
- 5月1日
- 読了時間: 3分
前回の記事では、図書館の「レファレンス」サービスについてご紹介しました。今回は、筆者自身が実際にレファレンスを体験したエピソードをお届けします。調べたいテーマを図書館で相談し、どのように資料を紹介してもらい、どんな発見があったのか――その一部始終をご紹介します。
地元・菊池の「袈裟尾」って、どういう意味?
ある日ふと、自分の住んでいる地域「袈裟尾(けさお)」という地名の由来が気になりました。なかなか聞きなれない言葉ですし、「袈裟」や「尾」という字にも意味がありそうです。インターネットでもいろいろ検索してみましたが、納得できるような情報にはたどりつけませんでした。
そこで思い出したのが、図書館のレファレンスサービス。もしかすると地元の歴史資料を調べるうえで、強力な助けになってくれるのでは?と思い、菊池中央図書館のカウンターで相談してみることにしました。
カウンターでは、「袈裟尾という地名の由来を調べたい」と率直に伝えました。事前に調べた内容があるかを聞かれたので、特に調べてない旨を伝え、図書館で扱っている郷土資料の中にヒントがないか、相談しました。
すると、「少し時間をいただければ、こちらで資料を探してご連絡しますね」との返答。2日後、図書館から電話で連絡があり、さっそく足を運び、紹介された本を確認しました。
紹介された資料とその内容
図書館員の方がピックアップしてくれたのは、以下の4冊でした。
『菊池風土記』
『菊池市の伝説・民話・俚謡』
『肥後國誌』
『角川日本地名大辞典』

これらの本の中には、要約すると概ね以下のような記述がありました。
人王五十二代嵯峨天皇の時代、伝教大師がこの地で修行していた折、紫色の袈裟と黄金の錫杖が天から降ってきて、そばの松の木に掛かった――この瑞兆により、袈裟尾山永福寺と号した。
お坊さんの「袈裟」とは何か関連しているだろうと想像していましたが、このような逸話に結びついていたとは、まったく予想していませんでした。しかも、このエピソードが複数の資料に共通して載っていたことで、信頼性も高いと感じました。自分ひとりで探していたら、きっと出会えなかった情報です。
地元の歴史を探究する力強い味方
今回のレファレンス体験を通じて感じたのは、図書館の底力と、その案内役としての司書さんの存在のありがたさです。自分だけではたどり着けなかった資料に導いてくれたことで、「図書館って本当に頼りになる!」という実感を持ちました。
そしてなにより、地元・菊池の歴史がこんなに奥深く、物語に満ちているのだと気づかされました。地名の背景に込められた信仰や人物の痕跡を知ることで、住み慣れた土地が一層愛おしく感じられるようになりました。
まとめ
レファレンスは、ただ“資料を探してくれる”だけのサービスではありません。調べたいテーマを一緒に掘り下げ、図書館の奥に眠っている知の世界へ案内してくれる、まさに「知のガイド」です。地元の歴史や伝承を知りたいとき、困ったとき、自分の好奇心を広げたいとき――そんなときこそ、図書館のレファレンスサービスを活用してみてください。きっと、あなたの「知りたい」をもっと面白くしてくれるはずです。
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