[2026年10月号] 菊池合志朗読会公演
更新日:1 日前
菊池 合志 秋の朗読の夕べ

9月12日菊池市中央図書館にて、菊池市中央図書館主催「菊池合志秋の朗読の夕べ」が開催されました。菊池朗読の会と合志朗読の会の合同朗読会でしたが、市民80名以上の参加で、たいへん盛況でした
菊池合志 秋の朗読の夕べ 9月12日 菊池市中央図書館主催
菊池朗読の会 代表者 米村史博 出演者 秋吉栄美子 武生孝一 坂本玲子
合志朗読の会 代表者 松本武士 出演者 渡邊スミ子 松見あづさ 小柳裕子
秋吉栄美子 「不動岩と彦岳の首引き伝説」 鹿本地方民話。
時は神代の時代。不動岩とその西に位置する彦岳とは義兄弟でした。母神は、まま子である彦岳には、日頃からまずい大豆そら豆を食べさせ、実の息子の不動岩には、おいしいアズキなど与えていました。
彼らが成長した時、母神は力くらべをさせました。勝ったほうには、水・火・土の三つの玉「三玉」を授けるためです。母神は、震岳(ゆるぎだけ)の頂上に大綱を渡して、両はしを彦岳と不動岩、それぞれの首に巻き付けて、綱引きをさせました。「エ~イギギギギ」「負けるか~~ガガガガ」両者激しく攻め合い、大地は震え大風が吹き荒れます。アズキばかり食べていた不動岩は、彦岳に力負けしてしまったのです。
震岳の頂上には、綱引きの時にすれてできた大きなくぼみが、今でも残っています。
不動岩の首は、あっけなく吹き飛び、あとには首石岩が残り、そこから吹き出した大量の血で当たり一面の土が真っ赤に染まりました。大綱のはしが、勝負を見守っていた母神の片目に当たり、一眼を失ってしまいました。母神の失われた目は、福原の畑の中に飛んでいき、それを人間たちは「神様の生き目」と言って祀ったのが、不動岩のふもとにある「生き目神社」です。人間たちは哀れに思い、首石岩のその丘の下に母神を祀り、「一つ目神社」と呼ぶようになりました。実の息子と片目を失った悲しみと痛みで母神の涙が止まることなく、流れ、「一つ目水源」になった、と言われております。
武生孝一 「がたじゃどんと葬式」菊池むかしむかし 菊池市立図書館蔵書
「がたじゃ」という男がいました。坊さんを知らないがたじゃが、坊さんの白い着物に黒い袈裟という母親の説明を聞いて、黒いカラスに、葬式に来るように言えば、「こーか こーか」と言われ、「子じゃなか」と言うと、「カカア カカア」と鳴く、「かかあじゃなか とっつあんたい」言えばカラスは「アホー アホー」と飛んで行きました。がたじゃは、白黒まだらの牛に、坊さんと思って声をかけると、牛はメーと鳴き、がたじゃは「姪じゃなか」と言いますと、牛は「モー」と鳴いて去ります。
がたじゃは家に帰って母親に話すと、母親は、坊さんは自分が呼びに行くから、がたじゃに飯を炊くように言います。火を燃やして、鍋が「ぐずがたじゃ ぐずがたじゃ」とたぎる音がします。がたじゃはじぶんがグズ(愚図)と鍋に馬鹿にされたと思って鍋を叩き壊します。お経が済み、坊さんは風呂に入ります。もすこし温めてほしいので、坊さんはそこにあるものを何でも良いから燃やしてくれと言いました。がたじゃは坊さんの衣類を風呂炊きに燃やました。坊さんは衣類をがたじゃに燃やされたので、芋の葉っぱで前を隠して、裸で帰りました。
坂本玲子 「ちいちゃんのかげおくり」あまんきみこ作 菊池市立図書館蔵
「かげおくり」は、地上の影をじっと見つめてサッと空を見あげると、空にその影法師(残像)が見える遊びです。
ちいちゃんは、お父さんがしゅつせいする前の日、みんなで「かげおくり」をしました。ある夜、くうしゅうでまわりが火の海のなか、ちいちゃんは、お母さんお兄ちゃんと逃げましたが、一人だけはぐれてしまいました。家は焼けてしまい、お母さんお兄ちゃんとも会えず、ひとりぼっちになったちいちゃんは、わずかなほしいい(炊いた米を乾燥したもの)も食べつくして・・・、三人が「かげおくり」をしながら待っている空へと、すいこまれていきました。こうして、小さな女の子の命が、空にきえていったのです。
渡邊スミ子 「トットちゃんの15つぶのだいず」黒柳徹子作 菊池市立図書館蔵
トットちゃんは、戦争前は家族そろってお食事をし、幸せでした。戦争が始まると、空襲で防空壕に逃げ込み、夜はぐっすり眠ることができません。パパも兵隊になって戦争に行きました。戦争前のトモエ学園のお弁当の時間はとても楽しかったのです。校長先生と奥さんがおかずを足してくれました。しかし、戦争が始まると食べるものが無くなりました。
トットちゃんの1日のたべものは、朝ママが炒った大豆15粒です。大豆を食べたらお腹いっぱい水を飲むように言って渡します。帰りにキャラメルの自動販売機にお金を入れますが、キャラメルは出て来ません。トットちゃんは、仕方なく家に帰り、夕ご飯に7粒食べました。そんな毎日で、栄養不良となりました。東京大空襲で青森に疎開しました。戦争は4年続きました。
トットちゃんは、今ユニセフ親善大使として世界中のめぐまれない子どもた
ちを抱きしめています。
松見あづさ 「無用の人」原田マハ作 菊池市立図書館蔵
美術館に勤務する私に、私の誕生日を指定した父からの宅配便が届き、中身は「鍵」でした。大学で美術史を学び、前衛芸術「現代アート」の展覧会を催す「アートスペース」に就職した私に、母は、苦労して大学にやった娘が、アートの非常勤職についたことに落胆していた。父は、「おもしろいんじゃないの」と賛同した。父はスーパーのチエーン店で働くが、地味で出世することもなかった。リストラ同然に退職し、ハローワークに通う日々だった。母はそういう父に不満を抱き、私に口癖にように離婚したいと言い、私も、父を「ダメな人」と言うイメージを抱くようになった。
私が高校生の頃、父の書斎で読んだ岡倉天心「茶の本」は、西洋人に日本の美の真理を教える美術書、哲学書だった。社会人になり、私の父に対する印象は、父は「無能の人」ではない、しかし、母や社会にとっては「無用の人」かもしれないと思った。
一度父が私の美術館に来た。アメリカの抽象表現主義の巨匠マーク・ロスコの大作を見て「お前がこんな美しい絵に毎日触れているんだから、幸せではないか」と言い、私はうなずいた。父は、最近書店に契約社員として、再就職し、本を陳列するのがとてもおもしろいと語った。
それっきり母と離婚している父と会うことはなかった。
私は、父が独身の頃居た神田川沿いの桜並木を歩いて、父が美しいものを愛でる心を持った人ではないかと思った。
宅配便で送られた「鍵」をもって父が借りていたアパートを訪ね、部屋に入ると、一冊の本が置いてあった。それは岡倉天心の「茶の本」であった。
小柳裕子 「仕事始め」赤川次郎作 合志市立図書館蔵
正月4日仕事始めの日ですが、母が振袖を持って急にやってきました。実は正月から、平常勤務だと言われていました。会社に着くと、屋上から社長が見下ろしていました。社長に、母が急に振袖を持ってきたため、母の意向を汲んで振袖で来たと言い訳しました。事務所に行くと事務所はガランとしています。社長は、「倒産したのさ」と言い、私を屋上に誘い、写真機と三脚を抱え、「晴れ着の写真を撮る」と言いました。社長は「実はここから飛び降りるつもりだったが、君の話しを聞いて、もう一度やり直す気になった。今日が仕事始めだ」と社長は言い、私は「はい」とこたえました。
参加した市民の声
「ちいちゃんのかげおくり」涙が出ました。
「がたじゃどんと葬式」笑いがとまりませんでした。
朗読会会員の声
私達の公演に、何人来てもらえるだろうかと不安でしたが、こんなに大勢来ていただけるとは驚きでした。
座席が40人分足らずだったので、座る所がなく、立ったままで聴いていただくことになるのではと心配しましたが、なんとか椅子を用意できて良かったです。
朗読の会に参加したいという人がおられました。うれしいです。
松本代表(左端)と合志朗読の会の皆さん

米村代表(左端)と菊池朗読の会出演者の皆さん

武生孝一さんのギター演奏と合唱 「赤とんぼ」「里の秋」



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