5月のはじまりに
- 杉本翼
- 5月1日
- 読了時間: 2分
5月の風が心地よく感じられる季節になりました。空を見上げると、鯉のぼりがゆったりと泳いでいます。子どもたちの健やかな成長を願うこの風景は、どこか当たり前のもののようでいて、本来は大人たちが守り続けていくべき願いでもあるはずです。

本日、5月1日は水俣病が公式に確認されてから70年の節目にあたります。水俣病の被害の中には、多くの子どもたちの存在がありました。生まれながらに影響を受けた子どもたち、成長の過程で苦しみを抱えた子どもたち。本来、守られるはずだった命や時間が、深く傷つけられた出来事でもありました。
苦海浄土を読み返すと、その一つひとつの出来事が、決して遠い過去ではないことに気づかされます。そこに描かれているのは、特別な物語ではなく、日常の中で見過ごされていった現実です。誰かの苦しみが、見えにくいものとして扱われてしまう構造は、形を変えながら今も続いているのかもしれません。

鯉のぼりが風を受けて伸びやかに泳ぐ姿は、「子どもが健やかに育つ社会であってほしい」という願いの象徴です。だからこそ、その風景をただ眺めるだけで終わらせず、「その願いは本当に実現されているのか」と問い直すことが必要なのだと思います。
70年という時間の中で、私たちは何を学び、何を見落としてきたのか。子どもたちの未来を思うこの季節に、水俣の出来事をあらためて受け止め、自分たちの足元を見つめ直していきたいと思います。


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