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[2020年12月号] 読書の誘い「道標となる言葉」


「本から受け取る人生の

道標となる言葉たち」

 菊池市地域人権教育指導員 宮川伊十

誰にでも生きていく上でよりどころとなる言葉が必ずあります。私にとっては、阿部次郎著「三太郎の日記」の「進む者は別れなければならぬ」です。

これまでの人生で何度もこの言葉に慰められ、勇気をもらいました。これまで生きてきた中で、たくさんの出会いや身を引き裂かれるような別れが何度もありました。

さらに阿部次郎は、「別離を告ぐるを要する処は、かつて自分にとって生命のごとく貴く、懐かしかったものでなければならぬ。およそ進歩は別れ・捨て去るをする点においてのみ可能である」と続けます。

中学卒業後、母の元を離れ他県の全寮制の学校に進学したとき、三年間の会社勤務から教職をめざそうとしたとき、大学の仲間と別れて熊本に戻り教職に就いたとき、そして毎年、教え子たちとの出会いと別れを繰り返す学校生活において、辛さを乗り越えるために必要な、未来を照らす灯のような言葉でした。

 会社を辞めるかどうか迷ったときも、亀井勝一郎著「青春論」の言葉が、背中を押してくれました。人の親となったときには、「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」(万葉集 山上憶良)という一首が心にしみました。我が子を抱いたとき、教室で出会う子どもたちへの思いが変化したのを覚えています。

 読書は、自分の知らない世界に誘ってくれますが、私自身、前に進む勇気をたくさん与えてもらいました。これからも自分の思いに重なる本との出会いを大切にしていきたいと思います。

        

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