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[2022年5月号] 本の広場「ドロバチのアオムシ狩り」

               


      著者  岩田久二雄    イラスト 岩本唯宏   

   本の広場「ドロバチのアオムシがり」        武井京子

「ドロバチのアオムシガリ」は、私の自然界を見る目を深く意識させた本である。

キャベツやブロッコリーを植えていて、毎朝アオムシ退治している。蝶の幼虫が葉を食い荒らしているから手作業である。殺虫剤を使わないのでよく見てとっている。その青虫を狩り蜂の足さげ蜂やどろ蜂が捕らえて運んだり、肉団子にして退治してくれる。自分と同じ体重の青虫を捕獲して飛ぶのを見た時は発見だったし、おどろきだった。

 その蜂類がだんだん少なくなっている。蜂群崩壊症候群という言葉がずいぶん前から心配されているが、実際に蜂を見ることが少なくなった。簡単に殺虫剤を使ったり、冬を越す場所が失われている事もあって受粉作業にも影響を出すと警告もされている。

 「ドロバチのアオムシがり」は泥蜂が竹等の小さい穴に卵と青虫をうめこみ、泥で壁のしきりを作り成長されるという絵本で、蜂に焦点を当て、昆虫に興味を持たせる自然保護の精神が学ばれる。

 文芸春秋誌二月号に、九州大学准教授丸山宗利氏の巻頭随筆「虫がいない」に「昆虫がいない世の中になりつつある。また気づかない人があまりにも多い。恐ろしい事が起きていると感じる」と書かれている。

 私の庭に日本蜜蜂の巣箱を用意して蜜蜂蘭を側に置いて待っているが、今のところ気配がない。六年前には二箱の蜜蜂がいて元気に飛び回っていたので、せっせと働く蜂さんを眺めているのは幸せであった。でもス虫が原因なのか逃去してしまった。養蜂趣味の人々も最近来ないと残念そうである。餌になる花や木も沢山用意しているのにである。

 少しでも増やすための蜜源になる花を各家庭に植えて欲しいと思う。秋の菊の花には蜂や蝶、蝿等多くの種類の昆虫が集まってくる。前の青虫退治はお目こぼしもする。蝶々も飛んできて欲しいし、狩蜂の餌もいる。自然が回っていくというのはそういう事だと思っている。

 「ドロバチのアオムシがり」は、子ども時代に読んでもらって、昆虫に目を向けてもらえばと思う。子どもたちに読んであげてほしい本である。




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