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[2022年8月号] 本の広場「図書館論紹介」



本の広場「図書館論紹介」

 菊池市立図書館が開館して、5年目になります。館長はじめ司書、職員の皆さんが、中央館、分館(泗水、七城、旭志)それぞれで、図書の貸し出しのほか、学習室(机)利用や読み聞かせや各種の展示、ワークショップ、子どもたちの遊びの空間を創り出しています。

 

 ところで、人口五万人弱の菊池市の市民成人の図書館利用活用はいかがでしょうか?

 菊池市立図書館を、より多くの市民が利用し、菊池市の文化、教育、地域おこしに活かせるようにしたいものです。

 全国では、どのように図書館が利活用されているか、参考となる図書を、紹介します。

 「新版図書館の発見」 前川恒雄・石井敦 著 NHKBooks

 本書は、日本の図書館の歴史をなぞり、現代の課題を問うています。

1970年代に、戦前からの道徳観念啓蒙という上から目線の図書館の在り方から、「市民の図書館」という画期的な理念が提起され、図書館サービスが重要視されました。

 しかし、1990年代に入り、自治体予算が厳しくなると、図書館の予算人員が削減され、業務委託化、司書の非正規雇用が進みました。2000年代、「官から民へ」の掛け声とともに、国は地方自治法を改正し「指定管理者制度」を作りました。

「指定管理者制度」は、首長、議会はコスト削減の観点から歓迎する一方、市民の立場からは、営利本位の図書館経営に歯止めがきかなくなるとの批判の声があります。

 著者は、あくまでも、自治体直営の図書館経営の重要性を訴え、そのためには、図書館側から市民へ近ずくことによって、読書・図書館利用を普及する方向への転換をよびかけます。

 「つながる図書館 コミュニテイの核をめざす試み」 猪谷千香 著 ちくま新書

 本書では、全国の多くの事例が取り上げられていますが、菊池市と同規模で、しかも、対照的な事例として、佐賀県の、指定管理者(TUTAYA系)を導入し、エンターテイメントを目指す「武雄市図書館」と同じく佐賀県の市民と行政の協調で建設運営される市民の図書館を目指す「伊万里市民図書館」が紹介されています。

 隣県の「武雄図書館」「伊万里図書館」ぜひ、実際に訪れて、自分の目で体験したいものです。

「図書館がまちを変える 発展する生涯学習都市の姿」  福留 強 東京創作出版

 本書は、図書館による町おこしの事例を多く取り上げています。

 そのコンセプトは、市民が主役のまちづくり、市民参加の生涯学習のまちづくりです。

まちづくりの目標として、自然環境、生活安定、健康・安全の生活環境とともに、文化的な生活の場、生涯学習の場としての図書館が取り上げられています。

 そのひとつの例として、鹿児島県の鹿屋図書館の、隣接市町を含む地域ぐるみの「図書館祭り」とネットワークは興味を引きます。

 図書館活動に関する著書は、もっとたくさんあります。また世界の図書館をカラー写真入りで紹介している本もあります。引き続き紹介してゆきます。

(注)上記三冊は、泗水図書館の蔵書です

 

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