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[2023年5月号] 古典への誘い「古今和歌集」

古典への誘い「古今和歌集」              井藤和俊

古今和歌集は、万葉集から約150年のちに編纂された最古の勅撰和歌集です。

万葉集は、漢字の「万葉仮名」で書かれていますが、古今和歌集は、「仮名まじり文」です。

見比べてみましょう。

古今和歌集  小野小町

(仮名まじり文)花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身 世にふる ながめせしまに 

万葉集     額田王

(万葉仮名)  熟田津尓  船乗世武登  月待者  潮毛可奈比沼  今者許芸乞菜    

(現代語訳文)熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな

 古今和歌集には、冒頭に序文(仮名序)があり、紀貫之が和歌論を述べ、歌集編纂の由来を記しています。

「やまと歌は、人の心を種として、万の言の葉とぞ成れりける。世の中に在る人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。力をも入れずして、天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の中をもやはらげ、猛きもののふの心をも慰むるは、歌なり。(以下略)」

この序を読んだ時、なるほど詩歌とはそういうものかと納得させられました。

古今和歌集には、春夏秋冬を詠む歌342首 恋歌360首 併せて702首、全体の

70%も詠われています。

古今和歌集の歌が雅びなのは、詠む人が上流階級で、かつこのような歌心をもって詠んでいたからなのでしょう。

誰もが聞いたことのある歌を幾つか選んでみました。

  久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ        紀 友則

  秋きぬと目にはさやかに見えねども風のをとにぞおどろかれぬる    藤原敏行朝臣

  つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを 在原業平朝臣

  世の中は かくこそありけれ 吹く風の 目に見ぬ人も 恋しかりけり 紀貫之

  吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ   文屋朝康

      ※この歌は、百人一首では、父の文屋康秀の歌とされている 

日本の花鳥風月を愛する文化的土壌、価値観は、万葉集、古今和歌集の伝統で培われてきたのでしょう。

万葉集、古今和歌集を始めて読んで、日本の精神文化の根っ子に触れたような気がしました。山川草木皆神が宿るという土俗的信仰、アニミズムとも根を一にしているのかもしれません。

参考文献 古今和歌集 新日本古典文学大系 岩波書店

     古今和歌集 新潮日本古典集成  新潮社


 

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