[2021年10月号] 本の広場 「わたしのなかの子供」
- libraryofallkikuchi
- 2021年10月1日
- 読了時間: 2分
「わたしのなかの子ども」
シビル・ウエッタシンハ作 松岡享子訳

絵本「きつねのホイティ」は、子ども達が大好きな絵本のひとつで、保育園勤務時に、よく読んでいました。
スリランカへボランティアとして派遣される前、知人が、表題の本をプレゼントしてくれた時、作者のシビルさん(女性)がスリランカ人だと知りました。知人に「シビルさんに会ってみたい。」と言うと、「きっと会えるわよ。」と、言われ、、夢のようなことがあるのだろうか、と思いつつ、現地に行き、この本を読みました。
ゴールという港町で育った作者は、この故郷が大好きだったけれど、当時スリランカはイギリス植民地だったため、両親により、イギリス式教育を受けるべく、大都会コロンボへ6歳の頃、引っ越すことになり、故郷への思いに心を痛めながら、その後の生活をコロンボで過ごすことになりました。
ゴールでの生活が日々思い出され、故郷への思いが募っていき。その思いを本に描くことで、自分自身を保たれていたのかもしれません。
挿絵は、著者自身で描かれ、スリランカらしい色彩豊かな色づかいで、リアルにかつユーモラス、絵本の随所にそれがあらわれています。
そして、何ともラッキーなことに、シビルさんご本人にお会いし、この本に描かれているような、小柄で、子どものような純粋で素直な素敵な方でした。
残念ながら、シビルさんは、昨年亡くなられましたが、シビルさんは、本の中に生きておられます。
木村牧子


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