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[2025年10月号 ] 図書館と書店の提携


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 図書館と書店の提携を深められないか?

 今年6月菊池市内の書店「TUTAYA」が閉店しました。

菊池市内には、本屋は昔からある「三木誠文堂」と教科書販売の「大塚屋書店」文具販売の「オガタ文具店」があるだけで、「三木誠文堂」も文具販売が主となって、展示されている書籍類は、TUTAYA に遠く及びません。

 菊池市からは事実上書店は姿を消し、近隣の書店は、山鹿市内「ANTOKU」又は菊陽町夢タウンの「紀伊国屋書店」しかありません。

 熊本県は、書店ゼロの市町村が22自治体(48,9%)もあります。これは、九州7県中最下位です。全国的にも、下から5番目です。(2024年出版文化産業振興財団調べ)

 昨年12月、熊本市議会に熊本市立図書館の地元書店からの書籍購入の議会請願がなされ、採択されています。(菊池市図書館友の会ホームページ「みんなの図書館菊池」8月号「図書館と書店の連携は?」掲載)

 国としても、経産省が2024年3月「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げ、書店経営者とのヒアリングを行い、関係省庁連絡会議にてまとめ、パブリックコメントを経て、「書店活性化プラン(2025年6月)」(下記参照)を作成しています。

 このプランで、大きな課題として取り上げられているのは、①読書人口の拡大、書店の魅力向上です。「1ヶ月に1冊も本を読まない」高校生と大人が半数を超える現状を、どう改善してゆくか?「朗読指導者」「読書アドバイザー」など読書推進人材の育成、また地域の文芸作品や作家等をテーマとした読書会やイベントなどを、図書館や書店が取り組むことなど例示されています。

 ②地域における書店と図書館・自治体との連携の在り方について、図書館における複本購入や新刊貸し出し、地域書店からの図書購入及び装備費(バーコードなどのICタグ装着)の扱いについて、実態調査を行い、検討するとしています。

 なお、これについては、先に述べた熊本市立図書館に関わる議会請願と同じ趣旨で、全国的には、先駆的に実施している事例があります。

 以下③「再販売価格維持制度」の問題や、④書店経営におけるIT化、⑤キャシュレスの進行に伴う諸問題が指摘されています。

 書籍は独占禁止法の例外として、出版社と書店との契約で全国一律の価格で本を販売することができます。しかし、図書館は、図書購入価格に装備費を含んで、定価以下で入札価格を設定しますので、それでは、地場の零細な書店は事実上落札できません。

 熊本市では、書店側としては、「図書購入と装備費は分けて入札してほしい。装備費は、地元の福祉施設に業務委託できないか」と要望しています。

 図書購入時のキャシュレス化は、売上金の回収に日時を要すること及び手数料負担が大きいことから、零細な書店・本屋は資金繰りに窮します。

 なお、IT化、キャシュレス化は、高齢の書店経営者には、資金的にも、技術的にも、負担が大きく、廃業の理由に挙げられています。

 その他多くの改善すべき事項が挙げられて、該当する事業には、詳細な補助事業等の施策の紹介がなされており、国としても、今後検討協議を進めることとされています。

 しかし、事態は、深刻で、現在進行中です。

 菊池市としても、三木誠文堂と菊池市立図書館との提携を深め、市民の読書環境を改善・向上していただきたいと切に願うところです。                                              事務局 井藤 和俊

書店活性化プラン


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