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[2026年09月号] エッセイ「年賀状じまい」


旧友と出会って談笑する若い二人
旧友と出会って談笑する若い二人

 エッセイ年賀状じまい」            古荘 貴美子

 その奇跡的な出来事が起こったのはもう45年も前の事です。

 当時私達は22歳、短大を卒業して2年程経った夏のある日。私は菊池市森北の国道325号線をランニング中でした。大型観光バスが後ろからゆっくり近づいて来て、私の真横に停車。直ぐに前方の扉が開きます。そして「アリ!」と叫ぶ声。(旧姓が有田なのでそう呼ばれていた)ナント短大時代仲の良かった高千穂に住む友人が降りて来ました。

「和子ちゃん?」私はもうびっくりです。どうして私だとわかったのだろう。それもバスの中から後ろ姿を見ただけで。彼女には特別な不思議な力があるのではないかと思ってしまいます。職場の研修旅行で山鹿温泉に宿泊し高千穂に帰る途中だったとか。再会を喜び合いました。わずか数分間の出来事でしたが、今でも鮮明に覚えています。昨夜の夕飯何食べたかはすぐ忘れるのに不思議です。

 そんな彼女から今年を最後にすると”年賀状じまい”の通知が届きました。その後会う機会もなく賀状のやり取りだけとなっていました。寂しいけれど最後の年賀状には、45年前に私を見つけバスを止めて会ってくれた事への御礼を書きました。そして「私はまだ走っています。約束しなくてもまた遭える気がします。どこかで私をまた見つけて下さい。どうぞ

お元気で。」と書き添えました。

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