[2025年10月号] 「数学する人生 岡潔」
- libraryofallkikuchi
- 10月1日
- 読了時間: 2分
本の紹介 「数学する人生 岡潔」 森田 真生編
紹介者 岩根 美香

昭和4年からのフランス留学中に出会った、多変数解析函数論未解決部分の問題を「芭蕉の句が理解できれば解決出来る」と看破し、実際に独力で解いた岡潔。
同数学者、藤原正彦先生の著作でその偉大な存在を知った訳ですが、数学は大の苦手で、文系を自負する私にとっては、全く衝撃的な意味不明の一文でした。
天才は見えている世界が全く違う!
俳句を嗜む主人に尋ねますと、句は引き算の美学だから、数式もそう云う風に理解したのかも、との弁。
納得しつつも、それだけでは無い気がして、関連本を読みあさる中で、森田真生さん編「数学する人生 岡潔」に出会いました。
岡潔の講演の書き起こしなども含まれ、著作以外の知られていなかった世界観を感じることが出来る一冊で、敬虔な仏教徒でもある岡が「情緒」の重要性を説いています。
形のない情緒というものを、右の内耳に関心を集めるとわかるなど実践的でもあり、
更に芭蕉、道元、漱石、芥川らの思想を紐解きながら、存在・いのちについて考察を深めてゆく岡。
結局、彼にとっての数学は、この世界の深淵を見るひとつの手段に過ぎず、表現方法の相違だけで、数字も文字も同じなのかもと気付かされましたし、且つ森田さんの岡潔への多大なるリスペクトと理解力を味わえた一冊でした。
因みに、なんという御縁でしょうか、今年の六月に森田さんの講演会が当地で開催されました。
懇談会の談話で、今から15年程前、東大ご卒業後、起業すべく、一番成功しているアップル社に故ステーイブ・ジョブズをお訪ねになったそうです。
帰国子女だからこその、ご発想と行動力だと感嘆いたしますが、勿論アポ無しで、けんもほろろの扱い。
悔しくて社食だけでも利用して帰ろうと立ち寄ると、日本通で有名だったステイーブ・ジョブズのこと。
メニューにざる蕎麦とお鮨があり注文すると、なんと!そばの上にお鮨が乗っていたそうです。
『日本のこと何もわかってないな』と感じた瞬間だったと笑ってお話下さいました。
菊池が大層気に入ったそうで、また来たいと仰っておられました。


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