[2022年10月号] 古典「竹取物語」紹介
古典「竹取物語」紹介「お伽噺(おとぎばなし)」から「物語」へ

子どもに親が語って聞かせた昔話し「かぐや姫」は、誰でも覚えていることでしょう。
「竹取物語」は、竹から生まれた「かぐや姫」をめぐる5人の公家の求婚とその破綻談、帝が月に帰るかぐや姫を留めようとして、兵を差し向けても、月への昇天を止められなかったという伝承説話の物語(作者不明)です。
化生説話
「竹取物語」は、竹の節が輝く竹を切ったら三寸の小さな子どもが出てきて、子どものいない翁夫婦が育てることから始まります。この誕生譚は、桃太郎や一寸法子と同じ化身誕生の伝承説話であり、お伽噺です。
求婚難題説話
かぐや姫は、輝く美しさの娘に成長します。うわさを聞いた若者たちが求婚しますが、断ります。しかし、どうしてもあきらめない五人(三人との伝承説話あり)の高貴な若者に、かぐや姫は、難題を課し、三年以内に叶えることを命じます。五人は、その難題を解こうとしますが、不可能と知り、偽物を作って姫に差し出し、求婚の歌を詠みます。しかし姫はそれを偽物と見破り、否と返歌します。
五人の若者は、地位を嵩に着て偽物で繕う姑息な人として風刺されています。平安貴族が、朝廷に仕える家人たちにどう見られていたか、わかります。また平安貴族が女性と交際するのは、和歌の応答でなされていました。
平安初期の世界を戯画化して描いており、もはやお伽噺ではなく「物語」です。
昇天説話
さて、噂を聞いた帝が「かぐや姫」を呼び寄せようとしますが、かぐや姫は応じません。そのうちかぐや姫は満月の夜に月の世界に帰らねばならぬと翁に告げ、それを知った帝は、兵を差し向けますが、月からの使者の天女たちに抗することはできず、かぐや姫は月に帰ってゆきます。羽衣伝説のお伽噺で完結します。
物語文学に昇華した「竹取物語」
お伽噺のかぐや姫のお伽噺は、リアルの世界と結合することによって物語に昇華したのです。「竹取物語」は、平安初期の物語文学として、上流階級に読み継がれ、のちの源氏物語にも引用されるようになりました。
参考文献 新潮日本古典集成「竹取物語」 野口元大 校注 新潮社
井藤和俊


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