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[2025年8月号] 投稿「敗戦80年 着々と戦後へ 悪逆と悲劇の隠蔽・美化。その先に・・・」

敗戦80年 着々と戦前へ 悪逆と悲劇の隠蔽・美化。その先に・・・

 

「秋待たで枯れ行く島の青草は皇国の春に甦(よみが)えらなむ」

 

 日本が無謀な戦争に敗れて80年。戦火の中で親族を失った人々、復員した軍人、戦禍の中で働き、傷つき、逃げ惑った民間の人々、家産・家財・田畑を失なった人々・・・そのほとんどが他界した。その二世も人生の終末期にさしかかっている。

 あの戦争の生き証人がほぼ姿を消すのを待っていたとばかり、歴史の歪曲と改竄が始まっている。「従軍慰安婦は存在しなかった、彼女たちは志願者で軍は関与していない」。「南京事件はでっち上げだ」。「ひめゆりの平和記念館の記述はフイクションだ。朝鮮や中国から日本へ強制連行され、炭鉱や鉱山ほかで過酷な労働を強いられた人々はいなかった」・・・・・。

 事実の否定または無視、証拠隠し。強制連行された朝鮮の人々の慰霊碑が撤去される蛮行もあった。世界遺産の説明に強制連行と過酷労働を強いた事実の書き入れも拒まれている。

 

 それらと裏腹に、自衛隊の装備の高度化、先制攻撃態勢、陣地強化などの臨戦体制が急ピッチで整えられている。装備も空母の建造、超長距離砲撃砲の開発・配備も進んでいる。

米軍と一体になった準戦時体制だ。自衛隊の動きの報道は禁じられ、実態は容易にうかがえない。

 沖縄の陸上自衛隊は、住民を悲劇に巻き込んだ牛島軍司令官の辞世の歌を、隊誌に掲載し続けている。冒頭の一首だ。22年秋に行われた安倍元首相の国葬、自衛隊音楽隊が演奏した曲は「国の鎮(しず)め」「悠遠なれ皇御国(すめらぎみくに)」だった。国民を守る自衛隊から天皇を守る旧日本軍への回帰だ。旧憲法では臣民は天皇の赤子(せきし)、日本には天皇という親がいて、全国民がその意のままであるべしとされた。臣民には人権はない、命の提供と服従だけだ。「女は生む機械」という大臣発言(07年)の裏にあるものもそれ。天皇の名で始められる戦争。子は黙って従え。兵士が足りないならどんどん生め。

 また、教育勅語も一部の学校の授業等で取り入れられたり、役所の職員教育に使われているという。天皇主権の国にして教育勅語を公立学校で義務化を訴えた政党も参議院で議席を得た。

 報道では戦場の生々しい死の写真は抑制され、専ら、破壊され廃墟になった建物の写真が掲載される。

  ほぼ一世紀前の毒草が生き返り、我々に襲いかかろうとしている。それが戦後80年の今だ。                                NK生

 注:牛島司令官との自衛隊の情報等については東京新聞5月8日の記事を参照しています。 

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