[2025年11月号] 木編BOOKSの本棚紹介
- libraryofallkikuchi
- 3 日前
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木編BOOKSの本棚紹介「四井真治『地球再生型生活記』
紹介者 木編BOOKS店主 杉本 翼

近年、地球温暖化が急速に進み、菊池市でも38度を超える日が出ても驚かなくなった。原因には諸説あるが、人類の活動が多かれ少なかれ悪影響を及ぼしていることはほぼ間違いない。温暖化の進行を防ぐために、SDGsなどの取り組みが盛んに取り上げられている。クリーンなエネルギーを使うこと、移動には車ではなく公共交通機関を利用すること、マイバッグを持ち歩くこと…。いつしか私たちは、できるだけ地球を傷つけないように意識して生きるようになったのではないか。生きているだけで地球に有害な存在である自分たちが、その害を少しでも減らそうとして生きているように感じる。
――本当に人類は、地球にとって有害な「がん」なのか。これが『地球再生型生活記』で問われている大きな問いである。パーマカルチャーの実践者である著者は、この問いに明確に「否」と答える。人間は地球にとってがんなどではなく、むしろ周囲の生態系に好影響を及ぼすことのできる存在なのだ。
パーマカルチャーとは、パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)、カルチャー(文化)を組み合わせた言葉で、永続的な農業をもとに、持続可能な文化を築いていくためのデザイン手法を指す。
本書では、この思想に基づいて工夫されたさまざまな暮らしが紹介されている。コンポスト、堆肥小屋、雨水タンク、バイオジオフィルターなど、耳にしたことのあるものから初めて知るものまで、多様な実践が登場する。読み進めながら印象的だったのは、著者の語り口から「苦労」や「我慢」、さらには「環境を守っている」という優越感のようなものが一切感じられなかったことだ。肩肘張って環境を守るのではなく、人がごく自然に暮らす中で、当たり前のように自然と調和している。その営みが周囲の生態系に好影響を与え、自然がますます豊かになっていく。とても豊かな生き方だと感じた。
無理なく、自然に、地球と調和した暮らしができることを、この本は教えてくれる。もちろん、一般的な住宅地に暮らす人が著者の生活をそのまま再現するのは容易ではない。けれども、まずは「地球と調和した暮らしは実現可能だ」と理解し、その一部を少しずつ取り入れていくことで、その豊かさを実感できるはずだ。
私自身も、30年後には著者のような暮らしを完全に再現したいと思いながら本書を読み、自宅の庭でコンポストを始めた。ささやかながらも、調和と循環の感覚を味わっている。


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