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[2026年07月号] 「学びは楽しく」

学びは楽しく~翻刻ボランテイア「くずし字の会」の紹介~


                     くずし字の会  西村 貴子


「くずし字をちょっとやってみませんか?」と誘われ気軽に参加した講座が、意外な楽しさと広がりを生むことになりました。今日はその会のご紹介をしたいと思います。


鷲﨑さんが講師をつとめる「くずし字講座」はAコースとBコースに分かれています。

菊池に残る史料そのものを使い、時代背景を講師自作のテキストから学べるようになっています。そのお陰で、古文書の文字を読みながら、気持ちは昔の菊池にいた人々の暮らしに飛んでいきます。地元の歴史が一気に深みを増しました。


講座受講を重ねるうち、講座の自由な雰囲気のまま、「もっと菊池のことを知りたい。」「もっと古文書を読みたい。」が高じ、有志による「くずし字の会」を立ち上げました。

最初の練習にと選んだのは、商売をされていた家のメモ的文書でした。


(奥村文書)


省略された文字も多く、ほとんど読めません。

使われる頻度が高い文字ほど簡略化される、ということを実感することになりました。

「唐人町代物屋御店」「すみや才右衛門」「覚」「赤金板金但厚サ五厘」など読めた文字から、暮らしを想像をしていきました。


あれこれと想像しては、皆で子供の頃の記憶をたどっていき、先祖の言葉を思い出すことになりました。農業実務者のWさんは、「現場の意見としてはですよ。」と農業経験の学びから話をされる。史学科で学んだGさんは、他の文書から言葉を探し出す。ボランティア案内人のSさんは菊池のこぼれ話に詳しい。

農業研究者、教育者、他県出身者、転勤族等、それぞれの経験と学びを持ち寄り、過去の資料も参考に、いろんな検討を重ねていきます。

正解を求めるのではなく、過程を楽しむ雰囲気が少しずつできあがりました。

記憶も怪しくなるお年頃。「あー、どっかで出てきた。」と叫ぶと、みんなも同じように苦笑いをしています。Sさんが笑って「できるしこ」といい、皆で納得する日々です。


「くずし字の会」は、図書館保管の古文書の翻刻作業をやっていくことを目標にしています。三人寄れば文殊の智恵と、ネット上で意見を出し合い翻刻を進めています。

月に1度の「確認の会」で顔合わせをして、不明な点を鷲﨑さんに確認をしています。

専門的に古文書に触れた経験のあるGさんが清書をして、徐々に図書館の古文書アーカイブの翻刻として採用されるようになりました。

また、文書中の人名は実在したか問い合わせて確認したり、表や地図も使い、横軸目線を入れ自分たちの学びを深めています。


(渋江文書:御祈念之扣の一部、井戸を埋め水神川へ戻す願、とある)


漢文・古文が嫌いだったこの私が、足繁くこの会に参加している理由は、おじさまたちが実に優しく、素っ頓狂な仮説も否定されないからです。「馬鹿にされないかな」などと考える必要もない、みんなの意見や考えを尊重する会です。

古文書を皆で読むと、自分なら気付かないところに気付く人がいます。自分なら見過ごす言葉に立ち止まる人もいます。誰かの気づきを借りて故郷を見直している感覚です。


「楽しい」と感じると勝手に勉強し始めるのは、子供も大人も一緒です。

「くずし字の会」では、歴史の表舞台には出ないけれど、私たちの暮らしに確実に存在したものを掘り起こしたいと思っています。災害や貧困に耐えながら、家族や地域社会を支え、日々の暮らしを営んできた庶民の歴史に焦点をあてていきたい。

それが地域の新たな「誇り」となる事を願って活動を続けていこうと思っています。


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